「ジンギスカンって何の肉?」
「ラム肉とジンギスカンは同じもの?」
「普通の焼肉とは何が違う?」
名前は知っていても、改めて聞かれると意外と説明しにくい料理かもしれません。
「麻布の羊」「市ヶ谷の羊」を展開する羊肉専門ブランド「羊組」でも、初めてジンギスカンを食べる方からこうした質問をいただきます。
まず押さえておきたいのは、ラムは肉の呼び名で、ジンギスカンは料理の名前ということ。
一般にジンギスカンは、ラムやマトンなどの羊肉と野菜を焼いて食べる料理として知られ、北海道を代表する食文化のひとつとして定着しています。
農林水産省でも、羊肉と野菜を使う北海道の郷土料理として紹介されています。
| よくある疑問 | 答え |
|---|---|
| ジンギスカンとは? | 一般に、羊肉と野菜を焼いて食べる料理 |
| 何の肉? | 主にラムやマトンなどの羊肉 |
| ラムとの違いは? | ラムは肉の呼び名、ジンギスカンは料理名 |
| ラム肉はジビエ? | いいえ。一般に流通するラムは家畜として飼育された羊の肉 |
| 食べ方は? | 大きく「味付け」と「焼いたあとに味をつける」スタイルがある |
| 専用鍋は必要? | 山型の鍋が代表的だが、調理器具だけで決まる料理ではない |
ジンギスカン=ラム肉、ではありません。
「羊肉」が食材で、「ジンギスカン」が料理です。
ジンギスカンとは?何の肉を使う料理?
ジンギスカンに使われる代表的な肉は羊肉です。
その羊肉にもいくつか呼び方があります。
よく知られているのが「ラム」と「マトン」。
さらに、その間の成長段階を「ホゲット」と呼ぶ場合もあります。
大切なのは、ラム・ホゲット・マトンが肉の呼び方なのに対して、ジンギスカンは料理の呼び方だということです。
ラムを使ったジンギスカンもある。
マトンを使ったジンギスカンもある。
使う羊によって、やわらかさや香り、肉らしさも変わります。
ラム・ホゲット・マトンの違いについては、別の記事で詳しく紹介しています。
ラム肉はジビエ?
ラムはジビエではありません。
厚生労働省では、ジビエについて、シカやイノシシなど狩猟の対象となる野生鳥獣やその肉として案内しています。
一般に流通しているラムは、家畜として飼育された羊の肉です。
羊肉に馴染みがない方からすると、
「牛・豚・鶏とは違う珍しい肉」
↓
「ジビエ?」
という印象になることもあるのかもしれません。
ただ、羊は世界各地で食肉として飼育されている家畜です。
ジンギスカンには「味付け」と「後付け」がある
ジンギスカンには、食べ方にも違いがあります。
代表的なのが、大きく分けて2つのスタイルです。
| 項目 | 味付けジンギスカン | 焼いたあとに味をつけるスタイル |
|---|---|---|
| 焼く前 | タレに漬け込む | 基本的に肉そのものを焼く |
| 食べるとき | 味が付いた肉を楽しむ | タレや塩などで味わう |
| 特徴 | 肉とタレがなじんだ味 | 羊や部位の違いを感じやすい |
農林水産省でも、北海道のジンギスカンには、肉を焼いてからタレにつけるものと、あらかじめタレに漬け込んだ肉を焼くものがあると紹介されています。
どちらが正しい、というものではありません。
味付けジンギスカンには、タレと肉がなじんだおいしさがあります。
一方、肉そのものを焼いてから味をつけるスタイルは、羊の香りや脂、部位ごとの違いを比べやすい。
私たちは後者を中心に、塩や自家製のタレなどで羊肉を楽しんでもらっています。
国産羊など、その羊自体の香りをまず感じてほしいときには、最初の一口を塩でおすすめすることもあります。
同じジンギスカンでも、何を先に味わってほしいかで店のスタイルは変わります。
ジンギスカンと焼肉は何が違う?
ジンギスカンも、肉を焼いて食べるという意味では焼肉料理のひとつです。
そのため、
「ここからが焼肉で、ここからがジンギスカン」
と一本の線で完全に分けるのは簡単ではありません。
ただ、一般的なジンギスカンには特徴があります。
主役になるのは羊肉。
そして代表的な食べ方では、肉だけでなく、羊から出る脂や肉汁を使いながら野菜も一緒に焼いていきます。
違いは「専用鍋を使うか」だけではありません。
羊肉を主役に、脂や野菜まで一緒に楽しむ食文化そのものがジンギスカンの大きな特徴です。
だから、同じ「肉を焼く」という料理でも、牛焼肉とは食べたときの体験がかなり違います。
なぜジンギスカン鍋は山型なのか?
ジンギスカンと聞いて、中央が盛り上がった独特の鍋を思い浮かべる方も多いと思います。
あの形には理由があります。
中央の高い部分で肉を焼き、周囲で野菜を焼く。
羊肉から出た脂や肉汁が鍋の傾斜を伝って周囲へ流れ、その脂を使いながら野菜を焼いていきます。
農林水産省でも、ジンギスカン鍋では中央部分で肉を焼き、その周りで野菜を焼くことで、肉から出る肉汁が野菜に味をつける構造を紹介しています。
玉ねぎやもやしなどに羊の脂が回ると、野菜だけを焼いたときとは違った味になります。
つまり山型の鍋は、単に見た目が特徴的なのではなく、羊肉と野菜を一緒においしく食べるための形でもあります。
一方、現在の専門店では、ガス火、炭火、無煙ロースターなど、設備や焼き方もさまざまです。
羊組でも、麻布の羊と市ヶ谷の羊では異なる設備を採用しています。
実際の肉の返し方や、焼きすぎないコツについては別の記事で詳しく紹介しています。
ジンギスカンはモンゴル料理?
名前から、
「モンゴル料理なのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
漢字では「成吉思汗」と書かれることもあり、モンゴル帝国のチンギス・ハンを連想させます。
現在日本で親しまれているジンギスカンを、モンゴル料理がそのまま日本へ伝わったものと考えるのは単純すぎます。
農林水産省によると、ジンギスカンの発祥には諸説あり、昭和初期ごろ、羊肉を食べる習慣がまだ一般的ではなかった日本人向けに、中国の羊肉料理を参考に考案されたという説などが紹介されています。
北海道では羊の飼育とともに羊肉を食べる文化が広がり、現在では北海道を代表する郷土料理のひとつとして知られています。
つまりジンギスカンは、名前の印象だけでは語れない、日本の中で育ってきた羊肉文化でもあります。
羊組が考える、ジンギスカンの面白さ
私たちがいろいろな羊肉を扱ってきて感じるのは、ジンギスカンを「一つの味」だと思わない方が面白いということです。
- ラム、ホゲット、マトンで違う
- 同じラムでも部位が違う
- 脂の付き方が違う
- 産地や生産者、飼育環境、個体によっても印象が変わる
私たちはこれまで、北海道を中心に東北なども含め、国内10以上の生産者・仕入先から羊を扱ってきました。
実際に食べ比べると、
「国産羊だからこの味」
「ラムだからこの味」
と一つにまとめられるものではありません。
同じジンギスカンでも、使う羊が変われば味は変わります。

羊肉を「珍しい肉」で終わらせたくない
今でも、ラム肉をジビエだと思っている方がいます。
それだけ、日本では羊肉が牛・豚・鶏ほど身近ではないということでもあると思います。
私たちが広げていきたいのは、単に「珍しい羊肉を食べてもらうこと」ではありません。
牛、豚、鶏と同じように、
「今日は羊にしよう」と自然に選ばれる食文化にしたい。
ジンギスカンは羊肉を焼いて食べる料理ですが、使う羊や部位、焼き方によって味わいは大きく変わります。
何の肉かを知るところから、その違いを楽しむところへ。
そこまで知ると、ジンギスカンの見え方も少し変わります。
東京でジンギスカン・羊肉を楽しむなら
ここまで紹介したように、ジンギスカンは「羊肉を焼く料理」ですが、使う羊や部位、脂の付き方、焼き方によって味わいは大きく変わります。
羊組では、東京都内で「麻布の羊」「市ヶ谷の羊」の2店舗を展開しています。
単にジンギスカンを食べるだけではなく、複数の羊肉や部位を食べ比べながら、自分の好みを見つけてもらうことも私たちが大切にしている楽しみ方です。
麻布の羊
麻布十番でジンギスカンを楽しめる羊肉専門店。
羊肉そのものの味や部位の違いを、自分で焼きながら楽しめます。
市ヶ谷の羊
市ヶ谷・麹町エリアでジンギスカンを楽しめる羊肉専門店。
無煙ロースターを採用し、仕事帰りの食事や会食にも利用しやすい店舗です。
