「生ラムって、生で食べられるラム?」
「普通のラム肉とは何が違う?」
「冷凍ラムより生ラムの方がおいしい?」
ジンギスカン店や精肉店で「生ラム」という言葉を見かけても、何を意味するのかは意外と分かりにくいものです。
一般には、冷凍を経ず、冷蔵状態で流通するラム肉を「生ラム」と呼ぶことが多くあります。
ただ、実際に羊肉の仕入先と話していても、「生ラム」という呼び方や基準が、販売店・飲食店・流通のすべてで完全に同じとは限りません。
そこで羊組では、言葉だけで曖昧にしないため、私たちが扱っている一度も冷凍されていないラムを「無冷凍ラム」と表現します。
羊組で扱うオーストラリア産ラムは、現地から冷蔵状態で輸入され、店舗に届くまで一度も冷凍されていないものです。
この記事では、「生ラムとは何か」という基本から、冷凍・解凍によって肉にどんな変化が起こるのか、そして無冷凍ラムを実際に扱う中で感じている違いまで、羊肉専門店の視点から紹介します。
生ラムとは?「生で食べるラム」という意味ではない
まず押さえておきたいのは、「生ラム」の“生”は、生食できるという意味ではないことです。
「ラム」は羊の成長段階を表す呼び方です。
一般には、冷凍を経ず冷蔵状態で流通するラム肉を「生ラム」と呼ぶことが多くあります。
一方で、羊組では「生ラム」という言葉だけで、
「必ず一度も冷凍されていない」
と絶対的に定義することはしていません。
私たちが仕入先と話す中でも、呼び方や使われ方には多少の幅があります。
だからこそ、羊組で扱っている肉については、状態が分かるように「無冷凍ラム」と表現しています。
つまりこの記事では、
一般的な呼び方としての「生ラム」
と、
羊組が実際に扱っている「一度も冷凍していない無冷凍ラム」
を分けて考えます。
生ラムと冷凍ラムは何が違う?
大きな違いは、流通や保管の途中で冷凍・解凍の工程を経ているかどうかです。
| 比較 | 冷蔵・無冷凍ラム | 冷凍ラム |
|---|---|---|
| 主な流通状態 | 冷蔵状態 | 冷凍状態 |
| 冷凍・解凍工程 | なし | あり |
| 保存性 | 比較的短い | 長期保存しやすい |
| 水分・食感 | 冷凍・解凍による変化を受けない | 条件によって水分や食感が変化することがある |
| 状態に影響する要素 | 温度管理、保管状態、肉そのものなど | 冷凍速度、保存温度、保存期間、包装、解凍方法など |
ただし、この違いだけを見て、
「無冷凍=良い、冷凍=悪い」
と考えるのは少し違います。
冷凍は、肉を長期間保存し、遠くまで安定して流通させるための重要な技術です。
冷凍方法や温度管理、解凍方法が適切であれば、肉への影響を抑えることもできます。
一方で、冷凍・解凍という工程によって、肉の水分や組織に変化が起こることも知られています。
大切なのは、生か冷凍かという二択だけではなく、
どんな肉を、どんな状態で保管・流通させているのか。
そこまで見ることです。
冷凍・解凍すると、肉の中では何が起こる?
生ラムと冷凍ラムの違いを考えるうえで、分かりやすいのが「水分」です。
肉には多くの水分が含まれています。
肉を冷凍すると、その水分の一部が氷になります。
そして冷凍された肉を解凍すると、冷凍や保存の状態によっては、肉から水分が流れ出ることがあります。
これが、いわゆるドリップです。
氷の結晶と肉の水分
肉を冷凍すると、肉の中に氷の結晶ができます。
その大きさやでき方は、
- 冷凍する速さ
- 保存温度
- 保存期間
- 途中の温度変化
などによって変わります。
冷凍中にできる氷の結晶や、保存中の状態によって肉の組織が影響を受けると、水分を保つ力が変化し、解凍したときに水分が流れ出やすくなる場合があります。
ドリップが多く出ると、食感に影響することがある
肉から水分が多く流出すれば、その分、食べたときの水分感にも影響します。
状態によっては、
- ジューシーさが弱く感じる
- 少し乾いたように感じる
- 食感が変わる
といった違いにつながることがあります。
実際にラム肉を比較した研究でも、冷凍保存した肉では、冷蔵状態の肉と比べて水分の流出量などに違いが見られた例があります。
ただし、冷凍した肉すべてに同じことが起こるわけではありません。
急速に冷凍したのか。
どのくらい保存したのか。
途中で温度変化があったのか。
どのように解凍したのか。
条件によって肉への影響は変わります。
そのため、
「冷凍すると必ずパサつく」
「冷凍ラムは必ずドリップが多い」
とは言えません。
赤いドリップは「血」そのものではない
解凍した肉から赤い液体が出ていると、
「血が出ている」
ように見えることがあります。
ただ、肉から出る赤い液体を、そのまま血と考えるのは正確ではありません。
解凍時に出るドリップは、主に筋肉の中にあった水分やたんぱく質などを含む液体です。
大切なのは赤い色そのものではなく、解凍したときに肉からどのくらい水分が流れ出ているかです。
水分の流出が多ければ、肉の水分感や食感にも影響することがあります。
保存状態によっては乾燥や酸化も起こる
冷凍肉は長期間保存できることが大きなメリットです。
一方で、保存期間や包装、温度変化などの条件によっては、肉の表面が乾燥したり、脂やたんぱく質が酸化したりする場合があります。
いわゆる「冷凍焼け」と呼ばれる状態もその一つです。
これも、
冷凍したから必ず起こる
というものではありません。
冷凍方法だけでなく、その後どのように保存されたかまで含めて肉の状態は変わります。
無冷凍ラムを実際に扱っていて感じる違い
ここまでは、冷凍・解凍についての一般的な話です。
ここからは、羊組で実際に無冷凍ラムを扱っていて感じていることです。
羊組では、オーストラリアから冷蔵状態で輸入され、一度も冷凍されていないラムを扱っています。

肉を切ったり、整形したり、実際に触っている中で感じるのは、
肉の張り、水分感、弾力、脂の状態が分かりやすい
ということです。
冷凍・解凍の工程を挟んでいないため、仕入れた肉そのものの状態を比較的そのまま感じやすい。
これは、私たちが無冷凍ラムを扱う中で感じている特徴です。
ただ、ここでも「無冷凍だから全部同じ」ではありません。
同じラムでも、部位が違えば食感は変わります。
同じ部位でも、一頭ごとに肉付きや脂の量が違います。
季節や飼育環境などによっても印象は変わります。
一頭の羊を実際に扱っていると、その違いがよく分かります。
だから羊組では、
「生ラムだからおいしい」ではなく、その肉自体を見ること
を大切にしています。
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羊肉の部位と特徴|肩ロース・モモ・ランプなど味・食感の違いを羊肉専門店が解説
肩ロース・モモ・ランプなど、羊肉の部位による味・食感の違いはこちらで詳しく解説しています。
生ラムなら臭くない?羊肉の香りとの関係
「生ラムは臭くない」
という説明を見かけることがあります。
逆に、
「冷凍ラムだから臭い」
と思っている方もいるかもしれません。
でも、羊肉の香りは冷凍の有無だけで決まるものではありません。
ラム・ホゲット・マトンといった成長段階。
脂の量や状態。
個体。
飼料。
保管状態。
調理方法。
さまざまな要素が関係します。
そして、羊肉には羊ならではの香りがあります。
私たちは、この「羊らしい香り」と、状態が悪いことで感じる不快な臭いは分けて考えた方がいいと思っています。
香りがあること自体が、品質の悪さを意味するわけではありません。
むしろラム、ホゲット、マトンを食べ比べると、羊の成長段階によって香りの出方が違うことも分かります。
その違いも、羊肉のおもしろさの一つです。
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生ラムの方がおいしい?羊組が大切にしていること
ここまで読むと、
「結局、生ラムの方がおいしいの?」
と思うかもしれません。
羊組としては、「生ラムだから必ずおいしい」とは考えていません。
無冷凍であることは、肉の状態を見るうえで一つの大切な要素です。

ただ、実際のおいしさはそれだけでは決まりません。
私たちが肉を見るときは、
- 肉そのもの
- 個体
- 部位
- 脂の付き方
- 保管状態
- 整形
- 切り方
- 焼き方
まで見ます。
たとえば同じ無冷凍ラムでも、部位によって食感や脂の感じ方は違います。
同じ部位でも、一頭ごとに状態が違う。
逆に、適切に冷凍され、きちんと温度管理され、適切に解凍された冷凍ラムにも、その肉ならではのおいしさがあります。
冷凍は保存期間を延ばし、さまざまな地域の羊肉を安定して流通させるためにも重要な技術です。
だから、
無冷凍だから上。
冷凍だから下。
という話にはしたくありません。
羊肉は、そんなに単純ではないと思っています。
「生ラム」という名前だけでは分からない
これは羊肉に限りませんが、名前だけで食材の良し悪しを判断するのは難しいものです。
「生ラム」と書いてあるか。
それだけではなく、
どこから来た肉なのか。
どのように保管されてきたのか。
どんな部位なのか。
肉をどう切っているのか。
そして、どう焼くのか。
一つずつ見ていくと、同じラムでもかなり違うことが分かります。
羊組が無冷凍ラムを扱っているのも、「生ラム」という言葉そのものを売りにしたいからではありません。
実際に届いた肉を見て、触って、その肉の状態に合わせて提供したい。
そのための一つの選択です。
食べ比べると、違いが分かりやすい
羊肉は、一種類だけ食べるよりも、違う部位や羊を食べ比べた方が特徴が分かりやすい食材です。
やわらかさ。
脂。
赤身の味。
香り。
弾力。
同じラムの中でも違いがあります。
「生ラムだからこういう味」と決めるのではなく、
「この肉はどう違うんだろう」
と食べてみる。
その方が、羊肉のおもしろさは分かりやすいと思います。
まとめ|「生ラム」という名前より、肉の状態を見る
一般に「生ラム」は、冷凍を経ず冷蔵状態で流通するラム肉を指すことが多い言葉です。
ただし、その呼び方や基準が、すべての販売店・飲食店・流通で完全に統一されているわけではありません。
羊組では、私たちが実際に扱っている一度も冷凍されていないラムを「無冷凍ラム」と表現しています。
冷凍・解凍では、条件によって氷の結晶やドリップ、水分の保持、乾燥や酸化などが肉の状態に影響することがあります。
一方で、冷凍方法や保存状態、解凍方法によって、その影響は変わります。
だから、
生ラムだから絶対においしい。
冷凍ラムだからおいしくない。
とは言えません。
私たちが無冷凍ラムを扱っていて感じるのは、肉の張り、水分感、弾力、脂の状態を比較的そのまま感じやすいことです。
でも最終的な味は、冷凍の有無だけではなく、肉そのもの、個体、部位、脂、保管、切り方、そして焼き方まで含めて決まります。
「生ラム」という言葉を知ったら、次はその先へ。
どんな羊なのか。
どんな部位なのか。
どんな食感なのか。
実際に食べ比べると、羊肉はもっとおもしろくなります。
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